ビルメンテナンス業界で働いていると一度は取得を目指す資格が建築物環境衛生管理技術者(通称:ビル管)です
ビル管理業界では有名な国家資格なので
「ビル管は難しい」
「ビル管は何回も落ちる人がいる」
といった話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか
実際に私も合格するまでに苦労しました
しかし難しいと言われる理由を理解して正しい勉強方法で取り組めば十分に合格可能な資格です
この記事ではビル管試験の難易度について
- 合格率
- 他資格との比較
- 難しいと言われる理由
- 独学での合格可能性
を解説します
また実際に合格した経験から感じた本当の難しさについてもお伝えします
Contents
ビル管(建築物環境衛生管理技術者)の難易度は高い?
結論:国家資格の中では難しい部類
結論から言うとビル管は国家資格の中では難しい部類に入ります
ただし電験三種やエネルギー管理士のような高度な計算問題が中心の試験ではありません
ビル管の難しさは
- 科目合格制度がない
- 足切り制度がある
- 出題範囲が広い
- 問題数が多い
という試験制度そのものにあります
そのため一部の科目だけ得意でも合格できません
全科目をバランス良く勉強する必要があります
なぜビル管は難しいと言われるのか
ビル管の難しさは知識の深さよりも範囲の広さにあります
試験では
- 空気環境
- 給排水
- 清掃
- 害虫防除
- 建築構造
- 関係法令
など幅広い知識が出題されます
設備管理経験者であっても担当業務によっては初めて学ぶ内容も少なくありません
そのため勉強を始めると想像以上に覚えることが多いと感じる受験者が多いです
ビル管の合格率はどのくらい?
過去の合格率推移
ビル管試験の合格率は例年20〜30%前後で推移しています
年度による多少の変動はありますが極端に難しくなったり簡単になったりする試験ではありません
| 年度 | 合格率 |
|---|---|
| 令和5年度 | 約25% |
| 令和4年度 | 約28% |
| 令和3年度 | 約23% |
| 令和2年度 | 約22% |
数字だけを見ると特別難しい試験には見えないかもしれません
しかし実際には合格率以上に苦戦する受験者が多い資格です
ビルメン業界の資格と合格率を比較すると?
ビル管の難易度をイメージしやすいようにビルメンテナンス業界で人気の国家資格と比較してみましょう
| 資格名 | 合格率の目安 |
|---|---|
| 第二種電気工事士 | 50〜60% |
| 危険物取扱者乙種4類 | 30〜40% |
| 建築物環境衛生管理技術者(ビル管) | 20〜30% |
| エネルギー管理士 | 20〜30% |
| 第三種電気主任技術者(電験三種) | 15〜20% |
ビル管は危険物乙4より難しく、エネルギー管理士とほぼ同等の合格率です
一方で電験三種ほどの難関資格ではありません
ただし難しさの種類は異なります
エネルギー管理士や電験三種は計算問題が中心ですが、ビル管は出題範囲の広さや足切り制度が難しさの要因となっています
合格率だけでは難易度は判断できない
ここで注目したいのは受験者のレベルです
ビル管は実務経験がなければ受験できません
つまり受験者全員が設備管理や環境衛生管理に関わる仕事を経験している人たちです
そのような人たちが受験しても毎年7〜8割は不合格になります
そのため合格率以上に難しい資格と感じる人も少なくありません
ビル管が難しいと言われる5つの理由
理由① 科目合格制度がない
ビル管には科目合格制度がありません
今年は空調だけ合格して来年は給排水だけ受験するという方法は使えません
全科目を同じ年に突破する必要があります
つまり不合格になった場合は翌年もゼロから受験することになります
この点が長期戦になりやすい資格との大きな違いです
理由② 足切り制度がある
ビル管最大の特徴と言えるのが足切り制度です
全体得点が合格基準を超えていても一部科目が基準点を下回ると不合格になります
例えば全体では70%正解していても、構造や害虫防除で足切りを受けるケースがあります
そのため得意科目だけ勉強する方法は通用しません
苦手科目を放置しないことが重要になります
理由③ 出題範囲が広い
ビル管試験は全部で7科目です
- 建築物衛生行政概論
- 建築物の構造概論
- 建築物の環境衛生
- 空気環境の調整
- 給水及び排水の管理
- 清掃
- ねずみ・昆虫等の防除
設備担当者であれば空調や給排水は理解しやすいでしょう
しかし清掃や害虫防除は普段業務で触れる機会が少なく、ゼロから勉強する人がほとんどです
この幅広さが受験者を苦しめます
理由④ 問題数が180問と多い
ビル管は180問を解く長時間の試験です
単純な知識だけではなく集中力や体力も必要になります
午前中は順調だったのに午後から集中力が切れて失点する受験者も珍しくありません
また1問あたりにかけられる時間も限られるため、迷う問題で時間を使いすぎない判断力も求められます
理由⑤ 実務経験者しか受験できない
ビル管は誰でも受験できる資格ではありません
建築物衛生法で定められた実務経験が必要です
主な対象業務は
- 空気調和設備管理
- 給水設備管理
- 排水設備管理
- 清掃業務
- ねずみ・昆虫等防除業務
などです
必要な実務経験年数は学歴によって異なります
| 最終学歴 | 必要実務経験年数 |
|---|---|
| 大学卒業 | 1年以上 |
| 短大・高専卒業 | 2年以上 |
| 高校卒業 | 3年以上 |
| その他 | 5年以上 |
つまり受験者は全員が一定の実務経験を持っています
それにもかかわらず合格率が20〜30%程度であることを考えると決して簡単な試験ではありません
ビル管とエネルギー管理士はどちらが難しい?
合格率はほぼ同じ
ビル管とエネルギー管理士はどちらも20〜30%程度の合格率です
そのため数字だけを見ると難易度はほぼ同じと言えます
計算問題ならエネルギー管理士
エネルギー管理士は熱力学や電気理論などの計算問題が中心です
数学や物理が苦手な人にとっては非常に難しく感じるでしょう
出題範囲ならビル管
一方のビル管は出題範囲の広さが特徴です
空調や給排水だけでなく清掃や害虫防除まで学習する必要があります
一つ一つの難易度はそこまで高くなくても覚える量は圧倒的です
設備管理員ならビル管の方が実務に近い
設備管理業務に従事している方であればビル管の方が業務との関連性は高いでしょう
実際の設備管理業務で役立つ知識も多く含まれています
そのため設備管理員であればまずビル管取得を目指すことをおすすめします
【体験談】私が感じたビル管試験の本当の難しさ
1回目に落ちた理由
1回目はビルメンテナンス業界で働き出して4年目(実務経験が丸3年を経過した頃)で受験しました
当時は電工二種などの取得しやすい国家資格をあらかた取得した後で、いよいよビル管を受験するぞと意気込んでいました
今までの国家資格の勉強は試験日の3ヶ月前(7月頃)から開始して合格できていたこともあり、ビル管も3ヶ月前から本腰を入れて勉強を始めました
しかし出題範囲が広く問題数も180問と大量であって、勉強すればするほど間に合わないことが明確になっていきました
その結果、勉強のモチベーションがガクッと落ちてしまい「今年は試験慣れをしに行こう」という考えに至ってしまいました
試験結果は70点程度だったと記憶しています
2回目に落ちた理由
受験1回目で失敗した翌年に再受験をしました
実はこの年も油断しており昨年の勉強した知識が頭に残っていると信じ、試験日の3ヶ月前から勉強を開始しました
そして勉強すればするほど間に合わないことが…と前年と同じ流れに行き着いて不合格となりました
この年も試験結果は70点程度となり、ここでやっとスケジュールを決めて真剣に勉強に臨まないと合格できないという現実を知りました
合格した年に変えたこと
2回目を受験してから2年後に3回目を受験しました
3回目は勉強を4月から開始しただけでなく、自分なりに考えて勉強する順番を設けて取り組みました
加えて過去問の実施記録を残し自分の得意不得意を目視できるようにデータを作って進捗管理を行っていました
そして勉強方法はテキストや問題集などは一切触らず、スマホのアプリで過去問を行うだけに絞りました
その結果、無事に合格できました
下記のリンクに勉強する順番やスケジュールなどを詳細に記載しているので受験する方は参考にしてください
【合格者が教える】建築物環境衛生管理技術者(ビル管)の勉強法|独学で合格するための学習スケジュール
ビル管合格に必要な勉強時間
一般的な勉強時間の目安
ビル管合格に必要な勉強時間は一般的に200〜300時間程度と言われています
もちろん設備管理経験や保有資格によって個人差はあります
例えば
- 第二種電気工事士保有者
- ボイラー技士保有者
- 設備管理経験者
であれば空調や給排水の理解が早いため学習時間を短縮できる可能性があります
一方で設備管理未経験者の場合は300時間以上を想定しておいた方が良いでしょう
私が実際に勉強した時間
私が勉強に費やした時間は大体170時間くらいです
内訳は4〜9月(6ヶ月間)の通勤中に往復30分ずつ計1時間を20日間実施したので20日✖️1時間✖️6ヶ月=120時間
さらに試験の2ヶ月前からは休日も3時間ほど勉強をしていたので8日間✖️3時間✖️2ヶ月=48時間
合計すると少なくとも168時間以上は勉強していたことになります
ここで注意してほしいのはたくさん時間を費やせば必ず合格できる訳ではなく、勉強の質や自分の得意不得意を理解することで合格に近づきます
勉強方法に自信がない方は下記のリンクに合格した私の勉強方法を記載しているので参考にしてみてください
【合格者が教える】建築物環境衛生管理技術者(ビル管)の勉強法|独学で合格するための学習スケジュール
ビル管は独学でも合格できる?
独学合格は十分可能
結論から言うとビル管は独学で十分合格可能な資格です
実際に通信講座や予備校を利用せず合格している人も数多くいます
私自身も独学で学習しました
そのため特別な講座を受講しなければ受からない資格ではありません
独学でおすすめの勉強法
ビル管で最も重要なのは過去問です
出題傾向が比較的安定しているため過去問を繰り返し解くことで効率よく得点力を伸ばせます
また足切り制度があるため苦手科目を作らないことも重要です
得意科目を伸ばすより先に苦手科目の底上げを優先しましょう
詳しい勉強方法については別記事で解説しています
【合格者が教える】建築物環境衛生管理技術者(ビル管)の勉強法|独学で合格するための学習スケジュール
ビル管試験はどんな人が難しいと感じる?
設備管理未経験者
設備機器の名称や仕組みに慣れていないため最初は理解に時間がかかります
特に空調や給排水の分野で苦戦するケースが多いでしょう
勉強時間を確保できない人
ビル管は出題範囲が広いため短期間での詰め込み学習はおすすめできません
仕事や家庭との両立が必要になるため早めの学習開始が重要です
暗記が苦手な人
清掃や害虫防除など暗記中心の分野もあります
理解だけでは点数につながらないため地道な反復学習が必要です
逆にビル管に向いている人
設備管理経験がある人
設備管理業務を経験している人は試験内容と実務が結び付きやすく理解が早い傾向があります
特に空調や給排水の経験は大きなアドバンテージになります
コツコツ勉強できる人
ビル管は短期間で一気に攻略するより毎日少しずつ継続した方が成果につながります
1日30分でも続けられる人は合格に近づけるでしょう
過去問学習が得意な人
ビル管は過去問との類似問題も多く出題されます
そのため過去問を繰り返し解く学習が苦にならない人は有利です
それでもビル管を取得する価値は高い
ビルメン業界で評価される
ビル管はビルメンテナンス業界において非常に評価の高い国家資格です
資格保有者は専門知識を持つ人材として扱われることが多くなります
転職や資格手当で有利になる
設備管理会社やビル管理会社の求人を見るとビル管保有者を優遇している企業は少なくありません
また資格手当が支給される会社もあります
取得することでキャリアアップにつながる可能性も高まります
私が取得して感じたメリット
ビル管の取得で最も感じたメリットは毎年受験するかどうか悩むことがなくなったことです
さらに追加すると上司や同僚から「まだビル管持ってないの?」と思われることがないという安心感もあります
そして昇進にビル管取得の有無が関わっている企業に勤めている方は安心して仕事に臨むことができるなどメリットは多岐にわたります
ビルメンテナンス業界に勤めている方は頑張ってビル管を取得しましょう!
ビル管は取得するべき資格なのか?
結論として設備管理業界で長く働く予定であれば取得する価値は非常に高い資格です
決して簡単な資格ではありません
しかし
- 転職時の評価向上
- 資格手当
- キャリアアップ
- 特定建築物の選任資格
など多くのメリットがあります
また設備管理員として働く以上、一度は挑戦したい資格と言えるでしょう
将来的に設備管理を続けていくのであれば早めの取得をおすすめします
よくある質問
ビル管の合格率は何%ですか?
例年20〜30%程度で推移しています
年度による多少の変動はありますが大きく変わることはありません
ビル管は独学で合格できますか?
十分可能です
実際に独学で合格している受験者は多く存在します
ビル管の勉強時間はどのくらい必要ですか?
一般的には200〜300時間程度が目安です
設備管理未経験者の場合はさらに多くの時間が必要になることもあります
ビル管とエネルギー管理士はどちらが難しいですか?
合格率はほぼ同程度です
計算問題ならエネルギー管理士、出題範囲の広さならビル管が難しいと言われています
ビル管は一発合格できますか?
十分可能です
ただし科目合格制度がないため早めに勉強を開始することが重要です
ビル管の受験資格は?
建築物衛生法で定められた実務経験が必要です
学歴によって必要年数が異なります
まとめ
ビル管は合格率20〜30%程度の国家資格であり決して簡単な試験ではありません
しかし難しさの原因は計算問題ではなく
- 科目合格制度がない
- 足切り制度がある
- 出題範囲が広い
- 問題数が多い
といった試験制度にあります
その特徴を理解して早めに学習を開始すれば十分に合格を目指せる資格です
設備管理業界で長く働く予定であれば取得する価値は非常に高いでしょう
ぜひ計画的に学習を進めて一発合格を目指してください


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